歯周病の始まりと進行〜歯周病の話②〜
歯周病は、気づかないうちに始まっていて、気がついた時には手遅れ(ひとりでに抜けてしまったり、抜歯するしかない状態)になっている…ということがままあります。
今回は、歯周病がどのように始まって、どのように進行していくかについてのお話です。
歯周病は歯に付着したプラークが原因で起こります。
歯の表面を爪でなぞってみると、爪には白っぽい、いわゆる「歯くそ」がついてきます。
これがプラークです。
プラークは単なる食べかすではなく、食べかすなどをエサにして繁殖した細菌の塊です。細菌が作った、ヌルヌルした物質でできた巣の中に、数百種類と言われるたくさんの細菌が共生しています。
歯周病は歯と歯肉の境目から始まります。
歯肉は常に新陳代謝して古い細胞がはがれ落ちて新しい細胞に入れ替わっているため、プラークは歯肉そのものには蓄積できません。
しかし、歯の表面は、歯肉のように細胞が入れ替わることが無いため、プラークが付着して蓄積しやすいのです。
歯と歯肉の境目にプラークがたまると、プラークの中に歯周病菌(歯周組織への攻撃性が強い菌群)が増えてきます。歯周病菌は酸素があると生きられませんが、プラークの量が増えて厚くなってくると、プラーク内部の酸素が減って歯周病菌が生きられるようになるからです。
歯周病菌を多く含んだプラークと接している歯肉は炎症を起こし、歯肉は腫れ、赤くなり、歯ブラシで触れただけでも出血するほど出血しやすくなります。
出血によって鉄分と栄養分が供給されると、歯周病菌は元気になってさらに増えていきます。そして、プラークの歯周組織への攻撃性が増していきます。
歯肉の炎症がずっと続くと、歯肉は歯からはがれて歯肉と歯のスキマが深くなり、そのスキマにどんどんプラークが入りこみます。
深くなった歯肉と歯のスキマを歯周ポケットといいます。
歯周ポケットの中に入りこんだプラークをブラッシングで取り除くことはできないので、治療をしないでそのままにしていると、常に歯周ポケットの中は炎症が続いている状態になります。
ちなみに、歯周病菌を多く含んだプラークは悪臭がします。
例えて言うと、うんこのような臭いです。
なので、口臭の原因になります。
やがて、炎症は歯肉だけでなく骨にも及び、骨がとけていきます。
噛む力を受け止める歯を支えられないほど骨がとけてしまうと、痛んだり、歯がぐらついたり、物を噛んだ拍子に抜けてしまうこともあります。
歯が抜けてしまうほど歯周病が進行するのは、発症から数年から数十年かかります。
こうして歯周病は重症化していきます。
進行すればするほど治療は難しくなります。
まずは歯周病にならないように予防すること、歯周病になってしまったら早く治療をすることが大切です。